64 巻 (1961) 9 号 p. 1568-1573
前報で担体付ニッケル触媒中ニッケルの結合状態を化学的方法で調べ,担体物質と化学的に結合したニッケルと遊離のものとが存在することを報告した。本報においてはこの点をX線回折法,赤外線吸収スペクトル法および示差熱分析法などの手段によって確認し,その結合状態をさらに検証しようと試みた。そこで担体物質および触媒調製法の異なる種々の触媒粉末試料(500℃,2hr焼成処理をした)につきX線回折および赤外線吸収スペクトルの測定を行ない,さらに試料の焼成温度の高低によるX線回折図の変化を検討し,また未焼成粉末試料について示差熱分析を行なった。その結果α-アルミナ上の酸化ニッケルは明瞭な結晶構造を有するが,シリカおよびアルミナなどゲル状態から出発した表面積の大きい担体上に分散した酸化ニッケルは,無定形の微細構造であること,N-S-水熱処理触媒およびN-A-共沈触媒においては,特殊な化合形態が生成すること,およびN-A-共沈触媒中の酸化ニッケルは500℃以上に加熱焼成すると,NiAl2O4のスピネルを生成することがわかった。なお赤外線吸収スペクトルから,N-S-水熱処理触媒には触媒の構成成分であるNiOおよびSiO2には認められない幾つかの特性吸収帯が現れることなどを観測した。