塩化シクロヘキシルの合成を目的とし,シクロヘキサンの光化学的塩素化反応を研究した。シクロヘキサンおよびその塩素誘導体,(塩化シクロヘキシル,ジクロルシクロヘキサン,トリクロルシクロヘキサン等)は,いずれも反応系において光化学的に塩素化されるが,シクロヘキサン核に塩素原子が1個導入されるごとに,塩素化反応の速度は1/1.7に下がる。塩化シクロヘキシルの収率を高くするためには,反応系において塩素と塩素化誘導体とが衝突する機会を少なくする必要があり,それ以外の反応条件は効果がないことを知った。塩素-シクロヘキサン溶液を暗所で調製し,これを光の照射されている傾斜面に流下させる方法,あるいは,反応生成液中に急速に流入する方法,あるいは,塩酸中に2相に分かれるままに供給する方法が,いずれもよい成績を示した。15%の塩素を含むシクロへキサン溶液をこれらの方法によって処理し,シクロヘキサン基準で,塩化シクロヘキシル収率95%をえることができる。