工業化学雑誌
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メタクリル酸ブチルエステルの重合
松崎 啓久保田 秀雄石田 彰江藤 和良板垣 孝治祖父江 寛
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65 巻 (1962) 4 号 p. 600-603

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抄録

メタクリル酸n-ブチル,イソブチル,sec-ブチルエステルに,広い温度範囲で,放射線重合,グリニャール試薬を触媒とする重合および過酸化ベンゾイルを触媒とする熱重合を試みた。n-ブチルエステルの放射線重合では,重合率がある値を越すと重合が加速され, ゲル効果が認められた。重合の活性化エネルギーは3.1kcal/molであった。n- およびsec-ブチルエステルの-78℃~室温における放射線重合体の赤外吸収スペクトルには温度による変化がほとんどない。またグリニャール試薬(主にsec-ブチルマグネシウムブロミド)によるn-ブチル,イソブチルおよびsec-ブチルエステルの重合体も,広い温度範囲にわたり同じような赤外吸収スペクトルを与える。放射線重合による重合体とグリニャール試薬による重合体の赤外吸収スペクトルには, 前者に750cm-1および1065~1070cm-1に顕著な吸収があるほか両者に多少の異なる点が認められ,ポリメタクリル酸メチルのスペクトルと比較して前者はシンジオタクティック,後者はアイソタクティック構造を持つと考えられる。過酸化ベンゾイルによる重合体は放射線による重合体と同じ赤外吸収スペクトルを示す。また,光学活性のメタクリル酸sec-ブチルエステルのグリニャール試薬による重合体は,ラセミエステルの重合体と同じ吸収スペクトルを示した。すべての重合体が,結晶性は低いが結晶性と思われるX線図を示した。

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