工業化学雑誌
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コバルト錯体とトリエチルアルミニウム系触媒によるブタジエンの鎖状二量化
斎藤 太郎大野 辰弥内田 安三御園 生晃
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1963 年 66 巻 8 号 p. 1099-1103

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抄録
ブタジエン存在下のコバルトアセチルアセトナート(Co(acac)3)とトリエチルアルミニウム(AIEt3)との反応で得られる触媒により,ブタジエンが非常に選択的に鎖状二量化し,3-メチル-ヘプタトリエン(1,4,6)(MHT)が生成する。反応初期におけるMHT生成はブタジエン濃度に比例するが,反応系のMHT量が増加すると,三量体以上の高重合物の生成が著しくなり,次第に系内のMHT量が減少する。すなわち逐次反応形式をとる。MHT生成の活性化エネルギーはラジカル重合に比較して小さく,ベンゼン溶媒中の反応では約8kcal/molである。またトリフェニルホスフィンの添加で反応が阻止される。これらの結果から,Co(acac)3,ブタジエン,AIEt3三者の反応で生成する触媒活性錯体にブタジエン分子が配位し,錯体上で水素原子移動を伴う二量化がおこり,生成した二量体は新しく配位してくるブタジエン分子によって追い出されるという機構で二量化が進むものと推定される。
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