68 巻 (1965) 9 号 p. 1634-1636
Si-O-Fe結合を有する化合物を出発物質としたSiO2-Fe2O3系ゲルの熱的相変化を検討した。Si-O-Fe結合を有する化合物を合成するために,4種の反応を試みた結果,FeCl3とφ2Si(OH)2とNH3との反応によって, 比較的安定なトリス( ヒドロキシジフェニルシロキシ) 鉄Fe(OSiφ2OH)3,mp65~66℃[I]と, 構造は明らかでないが,鉄含有率が大きく赤外吸収スペクトルでSi-O-Fe結合と認められる吸収をもつ物質[II]が得られた。有機成分を除くための, 予備焼成を行なった後の両試料の化学組成は, [I]SiO2 67.5wt%, Fe2O332.5wt%,[II]SiO230.6wt%,Fe2O369.4wt%であった。これらを共沈ゲル法にh よるほぼ同一の化学組成をもつ比較試料とともに,1500℃ まで空気中で加熱し,その熱的相変化を検討した。
[II]は700℃ 以上で共沈ゲル試料と同一の挙動を示したが,[I]は特異な挙動を示した。すなわち1000℃ までは無定形で, 1100℃ から1250℃(1時間保持) までの温度範囲で, これまでの報告にみられない新しい結晶相を示し,1250 ℃ ( 5 時間保持) 以上の温度でヘマタイトとクリストバライトに転移した。このN-フェロシリケート相と名付けた新しい結晶相の結晶系は明らかでないが,その面間隔はつぎの通りである。
3.22(W)2.97(M)2.72(S)2.55(W)2.46(M)
2.24(W)1.73(W)1.52(W)1.47(W)(Å)