68 巻 (1965) 9 号 p. 1698-1703
アルキリデンシクロヘキサンとして,メチレンシクロヘキサン,イソプロピリデンシクロヘキサンをえらび,種々の条件で自動酸化の反応速度を測定し,それより自動酸化の機構を動力学的に調べ,すでに行なった不飽和脂環炭化水素の自動酸化について得られた結果と比較し, 分子構造の反応性におよぼす影響を考察した。メチレンシクロヘキサン, イソプロピリデンシクロヘキサンはα-プロム酢酸エチルェステルおよびα-プロムイソ酪酸エチルエステルとシクロヘキサノンをそれぞれ縮合させ, 脱水, ケン化, 熱分解を経て合成したものを使用し, 装置ならびに反応条件はいままでに行なった場合に準じた。酸化は50~75℃ の範囲で, 酸素分圧は50~750mmHg,試料濃度を0.46~1.92mol/l,BPO濃度を試料1molあたり0~0.06mol,紫外線強度を32~100%の間で変化させて行なった。得られた反応生成物からこの自動酸化反応では,主として2の位置にヒドロペルオキシド(HPO)が生成されていることが明らかになった。そしてこの生成量は酸化の初期では酸素の吸収量に比例することが認められた。酸化の速度式は,Bolland,Batemanらの提出したオレフィンのそれと一致する。このものの反応中心における水素引抜きのエネルギーは, メチレンシクロヘギサンでは12kcal/mol,イソプロピリデンシクロヘキサンでは11kcal/molであり, 5員環よりも小さいが, 4員環よりも大きい,5員環よりも小さいが,4員環よりも大きいことがわかった。