69 巻 (1966) 7 号 p. 1396-1400
交流高電圧に長期間曝らされたときの油浸紙絶縁体の破壊電圧(交流長耐)は,工業上その品質安定性を保証する最も重要な特性の一つであって,この種破壊電圧特性への絶縁紙の乾燥程度の影響を,ケーブルモデルおよび実ケーブルによって検討した。
特にこの研究のために,油浸紙の交流長耐特性や含浸油化学組成の影響等を調べる研究室用モデルとして,サブミニチュア・ケーブルを開発し,その性能をモデルの構成面,含浸油への溶解ガス,油圧の面から検討した上で,絶縁紙の残留水分の影響,乾燥度の影響をしらべて次のことを確認した。
(i)平衡蒸気圧法による紙の残留水分が0.1%以上になると,交流長耐は大きく低下していく。この水分範囲では含浸した絶縁油の化学組成の影響はみられない。
(ii)紙の残留水分が0.1%以下となる状態でも,100℃ よりは120℃ で長時間乾燥して,多少の熱劣化を起こしてまでも完全な脱水を行なった方が交流長耐の上昇することを見出し,高度乾燥をした油入ケーブルにおいて総合性能が明確に改善することを確認した。