70 巻 (1967) 10 号 p. 1788-1791
剛直な分子構造を有するエステル類10数種を合成し,PVCに対し剛性可塑剤としての応用を検討した。すなわち,PVC100部に対してこれらの可塑剤5~50部の比率でコンパウンドを調製し,可塑剤の構造,融点と,コンパウンドの軟化温度,加工性その他の性質との関係を検討した。
その結果,可塑剤の骨格にかさ高い官能基を有するもの,あるいは対称性のよいものは軟化温度の低下が少なかった。例えば,水素化ビスフェノールのジ安息香酸エステル,トリメリット酸トリシクロヘキシルのようなかさ高いエステル類の場合,PVCへの配合量が5~10部では軟化温度は3~7℃低下するに過ぎず,配合量50部でも軟化温度45℃以上と室温ではきわめて硬いものであった。
一方,加工性は剛性可塑剤の添加量を増すことによって急速に良好となり,可塑剤の構造の差による影響は少なかった。また,一連のエステル類はPVCと強固な2 次分子間力で保持され, さらにかさ高い官能基によってコンパウンド内での拡散が行なわれにくいために,いずれも優れた保留性を示すことが明らかとなった。