70 巻 (1967) 7 号 p. 1068-1075
アルミニウム蒸着膜を2~3×10-5mmHgの真空中で作成し乾燥空気中における膜表面の変化をしらべた。すなわち重量増加速度,電気抵抗および単極電位の経時変化を測定した。
その結果蒸着膜の重量増加速度ならびに増加量は,膜作成時の下地温度および膜厚によって異なる値を示した。80℃ の下地温度で作成した場合は,ある一定の膜厚より厚い膜表面の反応性は変わらない。300℃ の下地温度で作成した膜の場合は80℃ の下地温度で作った膜より反応性に乏しいが,膜厚によって表面の反応性に変化が認められる。重量の増加率は80℃ の下地温度上に作った膜は800Å 以下,また300℃ の場合の膜は400Å 以下の膜厚で急激に増大する。この膜厚は電気抵抗と膜厚との関係で急激な電気抵抗の増加を示す屈折点の膜厚とほぼ一致する。
単極電位測定による表面層の酸素ガス吸着はElovichの吸着速度式で表わされる。下地温度80℃ の場合,厚膜の吸着速度は一定であるが,下地温度300℃ の場合には膜厚によって吸着速度が異なる。また80℃,300℃ いずれの下地温度で得られた膜においても,平衝電位-1.1Vより卑な値を与える膜の電気抵抗値は金属アルミニウムの抵抗値とほぼ一致した。
乾燥空気中におけるアルミニウム蒸着膜の反応性は下地温度80℃ で得られた厚膜では内部の結晶化が主であり,300℃ で得られた厚膜では吸着酸素による影響が主である。