工業化学雑誌
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シアン化水素のアルカリによる重合生成物
倉林 正弘柳谷 康新安本 昌彦鎌倉 卓郎
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70 巻 (1967) 7 号 p. 1106-1111

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抄録

シアン化水素のアルカリによる重合物の構造は四量体を除き確定されていない。ここでは無水の液体シアン化水素にトリエチルアミンなどのアルカリを少量加えて室温付近で徐々に重合させた試料につき,まず低級重合物を液体クロマトグラフィーで分別した結果,既知の四量体のほかに平均重合度5~10の重合物を少量得た。吸収スペクトルからこれらは末端に2種類の共役構造を持ち,基本構造は四量体類似のポリアミノシアノメチレンであると推定された。つぎにさらに重合度の高いアズルミン酸と呼ばれる黒かっ色の重合物につき熱分解,加水分解などを試みた結果,このものは低級重合物と類似の構造を持った平均重合度40程度の不安定な物質で,100℃ 以上に加熱するとアンモニアとシアン化水素を発生して二次的に縮合し,三次元的に高分子化することがわかった。また重合の進行状況の観察から二,三量体は蓄積されないこと,四量体は特に活性な中間体ではなく,むしろその安定なトリエン構造のために反応中やや多量に蓄積し,徐々に黒かっ色重合物に移行することなどがわかった。以上の結果に前報の速度論的な実験結果を加味してアニオン重合機構を提出した。

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