70 巻 (1967) 8 号 p. 1281-1285
ワックスの前融解について,145°F,135°F,125°Fと120°Fとの4種類の市販パラフィソワックスを用いて,X線回折により調べた。これらのワックスの回折図は前融解に伴って著しく,しかも複雑な変化を示した。
これらの回折図の解析結果と前報にて得られたDTA曲線との関係から,ワックスの前融解現象は次のように特徴づけられる。(1)回折線強度は前融解に伴って急速に減少する。したがって,斜方晶型の結晶構造の一部は分子の熱運動によって,はげしく乱されるものと考えられる。(2)斜方晶型に残された結晶部分は異常な熱膨張を示し,そして融解温度の近くにおいて,六方晶型の結晶構造への転移を示す。(3)120°Fと125°Fとのワックスは六方晶型へと転移する前に,二つの結晶型を示した。その一つは低温における斜方晶型が膨張した状態であるが,他は斜方晶型の他の状態に転移したものと思われる。この現象は145°Fと135°Fとのワックスにおいては観察されない。