赤色硫化水銀の光導電素子としての特性を調べた。天然産HgSの方が合成したHgSよりはるかに光導電感度がよかった。光学的吸収端は室温で620mμ(2.OeV)にあり,-8×10-4eV/°Kの温度係数をもつ。インジウムを電極に用いると極と結晶の間にオーミックな接触が得られた。光電流~温度~照度の測定から,-155℃付近にsuperlinearityの現象がみられ,それ以上に温めると温度消光の現象があらわれて,二つの増感センターが原子価帯の上,0.3と0.5eVにあることがわかった。暗電流の室温以上での温度変化の直線の傾きは0.95eVであった。この傾きが禁止帯の半分を示すとすると,これは光学的に求めた吸収端からの値とよく一致した。このことは暗電流が赤色HgSの固有領域の電気伝導に相当することを示している。熱刺戟電流の曲線から電子捕獲準位が伝導帯の下,0.27,0.31,0.41,0.55,0.61eVにあることがわかった。上昇,減衰時定数は,室温でそれぞれ,やく1.5msecと1.5msec,-118℃で1.8msecと2msecであった。