72 巻 (1969) 12 号 p. 2527-2531
均一系触媒(π-C5H5)2TiCl2-AlEt3系のn-ヘキサン溶液でのESRスペクトルを室温,低温(-100℃)でそれぞれ測定を行なった。この系ではAl/Tiの値により,g=1.976(1本線),1.985(2本線),1.978(6本線)と1.988(8本線)の4種類のシグナルが室温で観測されている。これらのシグナルの-100℃でのESRスペクトルの実測を行なうと,始めの3種は吸収の形において,特に顕著な変化は見られなかったが,g=1.988の8本線については,低温で各超微細構造線(hf)に重なって見掛け上7本線(結合定数0.5gauss)が観測された。別にこの系にLiAlH4を添加すると,同様に良く分離したhfが観測されることから,得られたこの構造線は出発物質として用いたCP2TiCl2のTi原子に結合した2個のC5H5分子の水素原子との相互作用に起因し,過剰のAlEt3存在下でも,TiC5H5と分子の結合は安定に保存されていることを示している。