72 巻 (1969) 6 号 p. 1242-1246
この研究はクロム酸ナトリウムの製造の慣行法と知られている炭酸ナトリウムをアルカリ源としてクロム鉱石を酸化バイ焼する工程において得られるクリンカー中の6価クロム転換率を支配するバイ焼温度および石灰の添加量の両因子の寄与について明らかにし,同時に工学的クロム酸ナトリウム製造法の最適条件範囲とその学術的基礎を求めようとした。
まずクロム鉱石のアルカリ酸化バイ焼反応に供与する各種配合試料およびクロム酸ナトリウム製造の最適条件における配合比の混合物について加熱重量分析(TGA),バイ焼過程途中のクリンカーのX 線分析をおこない, ついでこのクロム鉱石のアルカリ酸化バイ焼反応において予想される各種反応のΔF-T曲線について検討した。
それらの結果,クロム鉱石のアルカリ酸化バイ焼反応においては,まず配合された水酸化カルシウムが分解して生成する酸化カルシウムがクロム鉱石の熱分解にともなって9CaO・4CaO3・Cr2O3が生成され, ついで共存する炭酸ナトリウムが分解されるにともない,これがクロム酸ナトリウムに転換するものであるとの推論がなされた。