73 巻 (1970) 8 号 p. 1858-1861
湿式および乾式紡糸ビニロン――ホルマール化度はそれぞれ4,27,34%および0,20%――の直接染料数コンゴーレッド水溶液(pH11)中における,ζポテンシャル,表面染着量および全染着量を求めた。各繊維のζポテンシャルは,湿式および乾式いずれも負値を示し,結晶化度が小さくホルマール化度の大きい繊維ほどその値は大であった。染料濃度の増加とともに,各繊維のζポテンシャルは極大を経て減少したが,湿式繊維のそれは乾式繊維のそれより小であった。表面染着量および全染着量はともに染料濃度の増加とともに増加したことより,水素結合ならびにファンデルワールス力の関与が示唆された。湿式および乾式それぞれの繊維では,結晶化度の小さいそしてホルマール化度の大きい繊維ほど,表面染着量は小さく,全染着量は大きくなった。表面染着量~全染着量曲線の勾配の逆数より求められる染着に関与する表面積は,湿式繊維ではホルマール化度4,27および34%の順にそれぞれ1.06,1.52,2.19×106cm2/g-繊維であり,乾式繊維ではホルマール化度0および20%の順にそれぞれ0.16,0.43×106cm2/g-繊維であった。また染着に関与する表面積はBET法による窒素吸着によって決められる表面積(約103cm2/g-繊維)よりも大きく,水蒸気吸着によって決められるそれ(約106cm2/g-繊維)と同程度で,窒素吸着法および水蒸気吸着法によるそれと同じく,湿式繊維の方が乾式繊維のそれよりも大であった。さらに染着に関与する表面積は湿式および乾式それぞれの繊維については,窒素吸着法による表面積と同様に,結晶化度の小さいそしてホルマール化度の大きい繊維ほど大であった。