工業化学雑誌
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リチウム亜鉛フェライト粉体の焼結におよぼす粉砕効果
上原 保彦
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1971 年 74 巻 12 号 p. 2415-2421

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抄録

O.4wt% の五酸化バナジウムを含むリチウム亜鉛フェライト粉体を, 1, 5, 20 時間湿式粉砕し, 走査型電子顕微鏡観察, X線分析, 熱分析, 比表面積測定などで粉体物性を測定した。この結果, 粒子表面に結合水を含んだ無定形層が生成されることを確かめた。この粉体の焼結機構を知るために成形体を作り, 600~900℃ の温度領域の等温収縮量を求め, log(ΔL/L0)100min を 1/7 に対して Arrhenius プロットした。この場合, 約 700℃ の温度で直線に折点が現われ, 700℃ 以下では長時間粉砕試料は短時間粉砕試料に比べ, 見掛けの焼結活性化エネルギーが大きく, 焼結速度が遅いという焼結異常現象がみられた。これにつき考察し, 700℃ 以下の温度領域では, 粒子表面の無定形層が, 粒界拡散による焼結を妨げているためであるとの結論に達した。

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