工業化学雑誌
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テレフタル酸とエチレンオキシドとの反応における溶媒の影響
桶田 秀雄山神 喜三郎榎 吉二谷 敏行
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1971 年 74 巻 12 号 p. 2485-2490

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抄録

テレフタル酸 (TPA) とエチレンオキシド (EO) との反応により, ビス (β-ヒドロキシエチル) テレフタレートを合成する方法について検討した。溶媒の使用により反応が促進されるという従来の説に反し, 溶媒は反応体を希釈して反応速度の低下をもたらし, むしろ無溶媒系の方が反応が円滑に進行し, 反応速度が大きいことがわかった。無溶媒系における反応条件について検討し, 次の知見を得た。
(1) 反応速度は触媒量に対して1次, EO 濃度に対しても1次的に変化する。
(2) 反応温度は 90~130℃, とくに 110℃ 付近が適当である。
(3) 副生物 (エーテル結合を有する化合物) の生成量は, 反応系の EO/TPA モル比により影響されるが, EO 量が十分に多く, かつ反応条件が適切ならば, 反応生成物中の含有率は 1.Omol% 以下で実用上支障はない程度である。
さらに反応生成物をそのまま重合して得られるポリマーの品質について無溶媒法と溶媒法を比較検討し, 色調の点では前者がはるかにすぐれ, 他の点では両者に差がないことを知った。

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