工業化学雑誌
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遷移金属塩触媒による炭化水素の液相酸素酸化
今村 成一郎武上 善信
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1971 年 74 巻 12 号 p. 2490-2494

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抄録

コバルト, マンガン, クロム塩触媒による各種芳香族炭化水素の液相酸素酸化を行ない, 反応時における触媒の活性形態について考察した。コバルト塩触媒を用いた場合にはいずれの炭化水素の酸化においても定常酸化進行期において3価のコバルトは一定濃度となり, 中間生成物である過酸化物も定常濃度となった。
この過酸化物定常濃度は本実験条件下の比較的高触媒濃度領域 (約1×10-4mol/mol-soln~6×10-3mol/mol-soln) において, 触媒濃度の増大に伴ない高くなることが認められた。この現象はコバルト塩触媒の場合に特有のものであり, これらの結果から, コパルト塩は反応中において一定した形態ではないが, 配位子として過酸化物を保持すると推論した。さらに, コバルト塩-クロム塩共触媒の作用についても若干の考察を行なった。

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