日本化學會誌
Online ISSN : 2185-0909
Print ISSN : 0369-4208
新簡易原子價論
槌田 龍太郎
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1939 年 60 巻 3 号 p. 245-256

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抄録

1. 總ての化學結合は配位結合として一元的に取扱ふ事が出來る.即ちあらゆる化合物の分子又はイオンは,陽イオンの周圍に陰イオン又は分子が配位したものとして説明した.
2. 此の方法に依つて分子及びイオンの立體構造が決定し得られる.此際一次化合物も錯化合物も全然區別する必要はない.
3. 斯くて定められた正常元素化合物に於ける立體構造の數例を示す. BeO2=, BO2-等は直線形, H2O等は折線形(109°), NO2-, NO2, SO2等は折線形(120°), CO3=, NO3-, SO3等は正三角形, SO3=, CIO3-, NH3等は三角錐(109°), PO4, SO4=, CIO4-等は正四面體, IO5-6等は正八面體.
4. 全く同様にして定められた〓移元素化合物の立體構造の數例を示す. Ni(CO)4, CrO4=, MnO4-, [CU(CN)4]3-, [Zn(NH3)4]++等は正四面體, [CoCl4]=, (CH3C=NOH〓CH3C=NO)2Ni, [Pt(NH3)4]2+, [Pt(CN)4]=等は正方形.その他の2, 3, 6, 8配位合物はそれぞれ直線形,正三角形,正八面體,正立方體構造なる事を定めた.
5. 共鳴の説明を借りる事なしに,炭酸イオン,ベンゼン,石墨,遊離三アリルメチルの原子價異常を説明した.

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