αオキシ酸RCHOHCOOHの全旋光度はその水酸基OHと分子の殘餘の部分主としてカーボキシル基COOHの吸收に起因する部分旋光の和として考へられる. OHはCOOHに比するとより淺い紫外吸收を有するが分子の不齊の中心に近く位置する關係上その旋光性に與へる寄與は寧ろ大きい.從つて全旋光度は主としてOHのもつ部分旋光によつて決定される. OHの攪亂されるやうな種々な物理的及び化學的變化によつて全旋光性も著しく變動する.こゝにαオキシ酸の旋光異常の原因が存する.しかしてd系のオキシ酸に於てはそのOHはd部分旋光に寄與する.かゝる見解に基いて酒石酸,林檎酸,乳酸などのαオキシ酸及びその種々なる誘導體の示す旋光異常-温度,溶媒,濃度,波長等の影響による變動-が説明される.酒石酸以外の酸及び波長の影響即ち旋光分散は便宜上別に論ずる.