日本化學雜誌
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花コウ岩成分鉱物に関する地球化学的研究(その1)茨城県筑波山付近の花コウ岩の雲母の化学組成について
下田 信男
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80 巻 (1959) 2 号 p. 141-143

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抄録

花コウ岩(主としてベグマタイトの存在する近傍)の成分鉱物元素の分配に関する研究はきわめて少ない。当地方の花コウ岩類は野外観察から筑波形,稲田形わよび上城形と命名されている。これらはいずれも通常の岩しょう分化形式にしたがい,ケイ酸量の増加にしたがい,マグネシウム,鉄(II)は減少し,カリウムは増加する。この3形のうち,筑波形花コウ岩と稲田形花コウ岩慧ケイ酸に対する他の化学成分の変化図が同一曲線上に乗り,晶出の時期を表わすと考えられる黒雲母のMgO/FeOの値と共存斜長石のAn%,黒雲母の屈折率γと斜長石のAn%の関係が筑波形花コウ岩の黒雲母から稲田形の黒雲母へ連続的に変化している・これらの関係から,筑波形と稲田形は同一岩しょうから時期を異にして晶出したものであり,稲田形は後期のものと推定されている。今回は稲田,筑波両形花コウ岩中の黒雲母,複雲母花コウ岩(筑波形)中の黒雲母と白雲母,山ノ尾ペグマタイト脈周縁部に共生する黒雲母と白雲母等の試料を対象として元素の分配を研究した。
1・晶出時期を異にする花コウ岩中の黒雲母間では,'カルシウム,マグネシウム,カリウム含有量に明瞭な差がみとめられる。後期晶出のものの黒雲母は前期晶出のものにくらべ,カルシウムに富み,カリウム,マグネシウムにとぼしい。2.複雲母花コウ
堵中の黒雲母と白雲母の問では,ガリウムがAl2O3+Fe2O3含有量の多い自雲母に,バナジウムはチタン含有量の多い黒雲母に濃縮する.3.複雲母花コウ岩中の黒雲母と白雲母では鉛は白雲母に含まれるが,ペグマタイト脈周縁部に共生する黒雲母と白雲母では黒雲母に含まれる。

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© The Chemical Society of Japan
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