80 巻 (1959) 9 号 p. 1066-1070
プロタミンの化学構造を決定するに必要な特異的分解法の一つとして,オキシアミノ酸残基におけるペプチド結合のN→Ο アシル転移を利用した分解法を確立するため,まずクルペィン硫酸塩と濃硫酸との反応を検討した。この際20℃で3日間以後に,含有されるセリンおよびトレオニン残基の少なくとも70%まで転移を起して,それらのアミノ基を遊離したが,これらは炭酸水素ナトリウム溶液中でふたたび消失し,転移の逆行を示した。濃硫酸との反応によるクルペイン窒素の損失は0・5%程度で,含有されるオキシアミノ酸およびアルギニンはほとんど全部が回収された。無水の条件下で単離した転移生成物は過剰の硫酸を含み,主として蒸留水との接触後,アルギニン残基および,それより少限度に,オキシアミノ酸残基のアミノ基側でペプチド結合の切断が見いだされアこが,蒸留水の代りに緩衝液(pH5.0)を用いると,このような非特異的な開裂を避けることができた。