81 巻 (1960) 10 号 p. 1528-1531
錯イオンにおける幾何異性体の反応性を比較検討するために,シス-およびトランス-クロロ・ニトロ・ビス・エチレンジアミン・コバルト(III)錯イオンの中性および酸性水溶液におけるアコ化反応速度を,種々の条件の下において,分光光度計により吸光度の変化を測定することによって求めた。その結果によれば,これらの反応は1次反応として進行するが,同一温度においては,トランス型がシス型よりすみやかにアコ化し,またいずれの錯イオンも水素イオン濃度およびイオン強度の増加によって,微少ながら若干の速度の減少する傾向がみとめられた。また反応の活性化エネルギーは,シス型,トランス型の両者とも20700calであった。なお反応の機構についても若干の考察を試みた。