抄録
北海道の油田塩水 48 試料を対象として, 主成分とともにリチウム, ストロンチウム, 臭素, ヨウ素などをも定量し, 油田塩水の化学成分の一般的特徴を明らかにし, 温泉成分の起源の問題と関連して温泉水と対比して考察した。主成分間の関係とともに K/Na, Li/Na, Mg/Ca, Sr/Ca, Br/Cl, l/Cl, Br/I などの含量比をもあわせ考えると, 油田塩水の特徴として扱えるいくつかの性質が認められ, 海水, 温泉水と比較した場合の化学成分からみた差異が明らかになった。これらの事実は温泉成分の起源として油田塩水などの化石水が関与する可能性の有無を考察する際に, 重要な示唆を与えるものと考える。