81 巻 (1960) 8 号 p. 1266-1271
滴下水銀電極を用いて得られる電流-電位曲線からガドリニウム,ジスプロシウム,ホルミウムおよびエルビウムの各イオン(III)の還元電子数ならびに電流-電位曲線に対するpHの影響について検討した。
支持電解質として塩化リチウム(O.1mol/l)を用い,さらにゼラチンを加え(0.01%),復極剤の濃度を約10-4~10-3mol/l,pHを約2~5の領域で変えて電流-電位曲線を測定した結果,以下のことが明らかとなった。
各イオンの還元波はすべて水素波と分離して約-1.8Vvs.SCEにあらわれる。そしてPurushottamらによる第2波は観察されないが,約-1.98V付近に頂点電位を有する極大波をともなう。また還元波の半波電位は溶液のPHに依存し,pH約2~5の領域では,その上昇にともなってより陽電位に移動すると同時に,電極反応は可逆から準可逆,さらに非可逆的な反応に変化するものと考えられる。
限界電流については水銀圧ならびに温度効果から拡散律速性が認められ,各イオンの拡散電流定数は,拡散係数とIlkoviç式から算出した理論的な拡散電流定数(還元電子数を3と仮定して計算した)によく一致する。したがってこれらはすべてR3+→RO還元にもとづく波と推定される。
各イオンの半波電位は,同一条件下においてほぼ等しい値をとり,半波電位と標準単極電位の差は,原子番号が増加するにしたがって減少することを認めた。