83 巻 (1962) 9 号 p. 1007-1011,A65
琉球諸島に産するリン鉱で,とくにリン酸カルシウムを主成分としたものは亜鉛を0.004%より0.68%の範囲で平均0.4%を含む,これは南洋群島および他地区産のリン鉱に比較して大きな相異である。リン鉱申の成分間ではある範囲では亜鉛と鉄,アルミニウムとの間また亜鉛とケイ酸との問には正の相関がある。この亜鉛は原石灰岩に由来するものではなく,リン酸の源であるグァノに由来するものである。石灰洞に産するバットグアノ堆積層では,亜鉛は表層より下層にうつるにつれて濃縮され,それはリン酸の濃縮とよく一致し,最下層の石灰岩がリン酸カルシウムに変化するときこれに捕捉濃縮される。南洋群島および他地区産リン鉱に亜鉛が少ない原因を検討するため,亜鉛を多く含むリン鉱を二酸化炭素飽和水,水,海水,1.5%石灰水,および1.5%水酸化ナトリウム液などとふりまぜ,溶解してくる亜鉛とオルトリン酸イオンを定量した。その結果,海水や石灰水などで亜鉛が抽出されることを確かめた。このことから風化,とくに海水あるいはカルシウムを含む雨水などによる長期の風化の結果,リン鉱から亜鉛が流出したことがその少ない原因となったものと考えられる。