84 巻 (1963) 8 号 p. 618-621,A41
純物質としてのp-ジブロムベンゼンにこれと類似の構造をもつ5種類のベンゼンの1,4-置換体を添加した混合物の結晶について,p-ジブロムベンゼン中の81Brの核四極共鳴吸収線の強度を測定した。添加物の濃度に対する吸収強度の変化から"Characteristic number"Nを決定した。Nは添加物質の影響により正規の電場勾配とは異なる環境にあるp-ジブロムベンゼン分子のi数であり,その値はp-クロルフェノール,p-クロルアニリン,p-プロムアニリン,p-クロルニトロベンゼン,およびp-プロムニトロベンゼンに対しそれぞれ20,30,89,731および921であった。電場勾配をかく乱する原因を純物質分子と添加物分子との間の体積差に基づく結晶格子のヒズミ(体積効果)と添加物質の双極子能率に基づく局部的な電場勾配の変化(静電的効果)とにわけて考察した。その結果おもな影響は前者によるものであるが,体積効果の小さい場合には後の効果も無視し得ないことを明らかにした。なおP-クロルフェノールについてはこれらの効果だけでは説明し得ない異常性を認めた。