抄録
石灰窒素またはシアナミドから比較的簡単に生成される単純シアナミド誘導体(オルト炭酸誘導体)であるシアナミド,グアニジン,尿素,ジシアナミド,ジシアンジアミド,シアノ尿素,ビグァニド,グァエル尿素,ビウレット,メラミン,アンメリン,アンメリド,シアヌル酸,シアノメラミン,グァニルメラミン,メラム,メレム,シアメルル酸の18種の化合物につきこれらの酸,塩基解離定数をしらべ,酸性,中性,塩基性の全域で200~320mμの波長領域における各解離段階の紫外吸収スペクトルを測定した。そしてスペクトルの形状から各化合物の非解離型(分子型),解離型(イオン型)の構造を考察したが,一般に塩基性側ではアミノ型,オキシ(陰イオン)型構造をとり,分子中に存在する二重結合はすべて共役する位置に配列しやすく,酸性側になるにしたがい漸次イミノ(陽イオン)型,オキソ型構造に遷移することを知った。また分子中でただアミノ基とオキシ基,あるいはイミノ基とオキソ基の違いのみで同一骨格を有する化合物の吸収スペクトルは型状が似ているが,酸素を含む化合物の方がつねに浅色性を示している。