85 巻 (1964) 3 号 p. 211-215,A16
オレフィン類と塩素酸との強酸下の反応については系統的研究がないので,イソブチレン,ヘプテン-1,ヘプテン-2,シクロヘキセン,スチレン,アクリロエトリルなどのモノオレフィンについて検討を行なった結果,塩酸(還元性)存在下のときは,上記モノオレフィンより相当するジクロリドの生成を認めたが,これ以外にイソブチレンの場合には塩素置換反応物を少量得た。またシクロヘキセン,スチレン,アクリロニトリルの場合には塩化水素付加物を認めた。クロルヒドリンの生成はイソブチレン,シクロヘキセン,スチレンの場合に認められほかのオレフィンではその生成が認められないことから,クロルヒドリン生成には二重結合の性質が関係すると考え生成機構を考察した。また硫酸(非還元性)の存在の場合に塩素酸は一般に反応しづらく,シクロヘキセンのときにクロルヒドリンと若千のハロケトンの生成を認めたにすぎない。スチレンの場合に塩素酸を多量に用いると相当するハロケトン,カルボン酸の生成を認めた。このように硫酸(非還元性),塩酸(還元性)と用いる強酸の種類を異にすると反応のようすが異なっている。このことについて若干の考察を行なった。