86 巻 (1965) 10 号 p. 1042-1046
鉄(III)イオンおよび鉄(III)-亜セレン酸錯体の吸收極大はそれぞれ240および300m/μであって,錯体の生成によって60m/μの移動が認められた。連続変化法によって錯体の組成が1:1であることがわかった。さらに0.5~1.0N過塩素酸溶液での錯体の見かけの安定度定数と酸濃度との関係から錯体の生成反応はFe3++H2SeO3=FeHSeO32++H+で示されることが明らかになった。0.5~1.0N過塩素酸溶液では,30.0°±0.1°C,イオン強度1.00で錯体の安定度定数β11は3.67であった。安定度定数β11の温度変化からこの錯体生成反応のエンタルピー変化を求めて4.04kcalを得た。錯体のモル吸光係数εmaxは3.90*103であって温度による変化はきわめて小さい。