日本化學雜誌
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光学活性アトロラクチン酸エチルおよびその類似化合物の接触水素化分解におけるパラジウムとニッケル触媒の立体の選択性
三井 生喜雄今泉 真
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86 巻 (1965) 2 号 p. 232-236

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抄録

接触還元におけるパラジウムとニッケル触媒の選択性を調べる目的で,触媒の一面に立体障害なしにどのような吸着状態でもとり得る光学活性アトロラクチン酸エチル(1a), 2-フェニル-2-オキシ酪酸エチル(1b), 2-フェニルプロパンー1, 2-ジォール(IIIa)および2-フェニルブタン-1, 2-ジォール(III)をラネーニッケルおよび種々のパラジウム触媒で接触還元した。アルカリを含むパラジウム触媒ではいずれも非常に水素化分解され難く, lb, IIIbは根当するIa, IIIaよりいずれの触媒でも非常に反応難かった。Iはラーニッケル触媒により立体配置を保持した2-フェニルプロピオン酸エチル(IIIa)または2-フェニル酪酸エチル(IIIb)を生成するが,パラジウム触媒(Pd-C-A, Pd線など)ではIIと未反応物Iのほかにそれぞれのべンぜン環が水素化きれた化合物を生成したので, IIをガスクロマトグラフィーで分取し旋光度を測定した結果,いずれも立体配置の反転したIIを生成した。また,IIIはラネーニッケル触媒により体配置を保持した2-フェニル-1-プロパノール(VIa)または2-フェニル-1-ブタノール(VIb)を生成し,パラジウム触媒(Pd-C-AまたはB,ラネーPd, Pd-線など)では立体配置の反転したVIを生成した。さらに,IIIは中性または酸を含むパラジウム触媒によりVIのほかにIIIの二つの水酸基が水素化分解された炭化水素を同時に生成した。
以上のニッケルとパラジウム触媒の立体的選択性の差は,両触媒金属の水酸基に対する吸着力の差により異なる立体的吸着状態で水素化分解されたためと推定した。

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© The Chemical Society of Japan
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