86 巻 (1965) 6 号 p. 612-619
光核反応を利用して特異的な放射化分析法を確立する目的で,本報では,類縁元素としてたがいに共存の機会が多いガリウム,インジウムおよびタリウムに,日本原子力研究所の電子線型加速器で得でられる最大エネルギーが20MeVのγ線を3時間照射し,光核反応の残留核によってこれら3元素のうちの任意の2者混合物中各自を非破壊で定量する方法について検討した。また,多量成分をγ線束強度の内部モニターとする方法を行ない,それぞれの場合についてできるだけ鋭敏でSN比の大きな定量条件を求めた。
ガリウムは(γ, n)反応によって半減期が68分の68Gaを生じ,このβ+の消滅放射, 0.511MeVのγ綿の光電ピーク強度を照射終了時の値とし,同時刻における114mIn(50day)の0.190MeVあるいは202Tl(12day)の0.439MeVの光電ピークの示す訐数率との比, RAOを求め,これと混合重量比, Rwとの関係を求めたところ,それぞれ,Rw/RAO=(1.47±0.21)×10-3およびRw/RAO=(5.5±0.68)×10-3で示される比例関係が得られ,約200ppmまでのガリウムの定量が行なわれることを明らかとした。インジウムの定量には,インジウム-ガリウム系試料ではガリウムをモニターとして69Ga(γ, 2n)67Ga(78hr)で生成する67Gaの0.092MeVのピークと114mInの0.552~0.722MeVのピーク面積を,インジウム-タリウム系では202Tl(12day)の83keVおよび114mInの27keVのX綿を測定して,それぞれの比をとりRwとの関係を求め,カリウム中の数%か程度のインジウムおよびタリウム中の0.3%までのインジウムの定量法とした。また,ガリウムあるいはインジウムに含まれるタリウムは, 202Tlの0.439MeVあるいは83keVのピークを測定して同様の取り扱いによってガリウム中の0.1%までのタリウムおよびインジウム中の1%程度までのタリウムを非破壞分析できることを明らかにした。