水銀中毒とは無関係な剖検体10例の,脳,肝臓,心臓,腎臓,肺臓,脾臓,膵臓,胃粘膜,腸粘膜,副腎,甲状腺および筋肉中の水銀の定量を行なった。
試料は硫硝酸と過マンガン酸カリウムにより湿式で酸化分解し,水銀をジチゾン法によって定量した。各臓器の水銀含量は個体差が大きいが,臓器別の平均値間には有意差が認められなかった。
分布量から求めた分析臓器全体の平均水銀含有率は0.48ppmであり,体全体の平均含有率も大差がないと仮定すれば,体重50kgの正常な日本人の体内には,約24mgの水銀が存在することになる。