日本化學雜誌
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水の沸点付近の温度の噴気孔ガスおよび温泉ガス中の炭酸ガス,硫化水素,窒素および亜硫酸ガスの迅速分析法
小沢 竹二郎
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1966 年 87 巻 9 号 p. 959-962,A53

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抄録

温泉地域,とくに酸性泉を湧出している地域には噴気活動の見られることが多く,その温度は水の沸点付近であって,噴気中には塩化水素は含まれていないが,水蒸気のほかに炭酸ガス,硫化水素,窒素および少量の亜硫酸ガスが含まれている。これらのガスを既報で分析すると完全であるが,多くの試料を分析するのには時間がかかるので簡便法として水以外のガス成分を簡単に定量する方法を検討した。噴気孔ガスを注射器中に採取し,常温まで冷却したのち採取体積を読み,ただちに水酸化カリウム溶液を加えて酸性ガスを反応吸収させ残留したガス(主として窒素)の体積を測定する。塩基性炭酸カドミウム懸濁液中に水酸化カリウム溶液を加えて混合し硫化水素を硫化カドミウムとして分離したのちヨウ素滴定法で定量する。亜硫酸ガスはロ液をヨウ素滴定法により定量する。炭酸ガスの体積は試料採取体積と残留ガス,硫化水素および亜硫酸ガスの体積との差として計算される。合成試料をつくり検討した結果,亜硫酸ガスの含有量が1%以下であれば十分実用に適することがわかった。温泉ガスの場合には通常亜硫酸ガスは共存しないので,塩基性炭酸カドミウム懸濁液による分離操作は不要であり,水酸化カリウム溶液を直接ヨウ素滴定法にょって硫化水素を定量する。これらの方法を現地で適用した結果,比較的再現性もよく,簡単で迅速で20~30分間ぐらいで一試料を定量することができた。

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