88 巻 (1967) 2 号 p. 162-164
従来,糖類または多価アルコール類が鉄(III)と錯体を形成するいわれているが,鉄(III)に対するこれらの物質の錯体生成能あるいは錯体の化学構造などについてまだ不明確な点が多い。
本研究では,各種の多価アルコールの存在において塩化鉄(III)水溶液をAmberlite IRA-410(OH型)により静的に陰イオン交換し,酸化鉄ゾル生成率の測定,電子購鏡顎およびシアノガムゲル電気泳動像の観察を行ない,糖または多価アルコール類こよるゾル生成阻害の割合を比較検討した
。L-ラムノース,α-メチル-D-グルコシドは,以前に報告した各種分子量のデキストランの場合と同様に,ゾル生成をまったく阻害しない。しかしグリセリソ,エリトリットおよびアドニットは鉄(III)塩1molに対して多価アノレコール1.75-2.93molの量比において,生成されるゾル粒子の形および大きさに影響を与えた。さらに6価アルコール(ソルビッ,マンニット,ダルシット)は,鉄(III)1molに対して1.48mol以上を用いたとき.ゾル粒子の形成をまったく抑制した。したがって鉄(III)に対する錯体形成能は6価アルコール>アドニット>エリトリット>グリセリン>糖類の順に弱くなるといえる。