89 巻 (1968) 2 号 p. 162-166
3種類の方法で調製した水酸化ビスマスについて,その陰イオン交換可逆性を検討した結果,塩素イオンの水酸化ナトリウムによる溶出では,試料の結晶化度の増加とともに塩素イオンの溶出率は増加することはすでに報告したが,塩素イオンの臭素イオンによる交換では交換率は結晶化度にほとんど関係なく,ヨウ素イオンによる臭素イオンの交換,ヨウ素イオンによる塩素イオンの交換では,塩素イオンの水酸化ナトリウムによる溶出とは逆に結晶化度の増加とともに交換率は増加することがわかった。
これらはすべてイオン交換速度の大小によることが,イオン交換速度の測定結果から推定された。すなわち有機不純物を多く含むため,結晶化度の低いものは,水酸化ナトリウムによる塩素イオンの溶出速度が結晶化度の高いものより遅いため,イオン交換可逆性が良くなっているものと考えられる。またハロゲンイオン相互の交換では,イオン交換にともなう構造変化があまりいちじるしくないため,結晶化度のイオン交換速度におよぼす影響が塩素イオンの水酸化ナトリウムによる溶出の場合ほど顕著でないものと考えられる。