90 巻 (1969) 12 号 p. 1226-1230
テトラバロゲノ-p-ベンゾキノン,なわちフルオルアニル(F4BQ),クロルアニル(Cl4BQ),プロムアニル(Br4BQ),ヨードアニル(I4BQ)とヨウ化アルカリ(ヨウ化ナトリウム,ヨウ化カリウム)との電子移動反応によってベンゾセミキノンイオンラジカルの生成する反応をアセトン溶液中で20~35℃の範囲で吸光度法により速度論的に検討し,反応速度はベンゾキノンについて一次,ヨウ化アルカリについて二次であった。温度依存性から求めた活性化エネルギー(ΔE≠),活性化エントロピー(ΔS≠)は,Cl4BQNaI: ΔE≠=6.8kcal/mol, ΔS≠=-19.4 e.u., Cl4BQ-KI: ΔE≠=7.6kcal/mol, ΔS≠=-18.6 e.u., Br4BQ-NaI: ΔE≠=9.7kcal/mol, ΔS≠=-16.6 e.u.,Br4BQ-KI; ΔE≠=9.8kcal/mol, ΔS≠=-16.3 e.u.であった。さらに,電子供与体となるのは解離イオンとしてよりもイオン対であること,電子移動反応の過程で電荷移動型錯体が中間体として生成すると考えられること,反応速度は置換ハロゲンについて,F>Cl>Br>Iの順であるが電子受容体の電子親和力と直接関連ずけることは困難であることなどについて考察した。