日本化學雜誌
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液相におけるシリル遊離基の反応
桜井 英樹
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91 巻 (1970) 10 号 p. 885-897

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抄録

本論文は,液相におけるシリル遊離基の構造と反応に関し,著者らの行なった報告を総台し,考察を行なったものである。ヒドロシラン類は,過酸化ジベンゾイルあるいは過酸化ジ-t-ブチルなどの遊離基反応開始剤を働かせることにより,シリル遊離基を発生する。このとき種々の基質を共存させることにより特徴的な反応を行なうことがわかった。シクロプロピルジメチルシランはアセトンのC=O結合に付加を行なう。このとき,類似のシクロブロピルカルピニル遊離基の挙動とは異なり中間のシクロプロピルジメチルシリル遊離基は転位を行なわない。種々の生成物のほか,期待される二量体も得られた。シリル遊離基の呈する性質のうち,もうとも顕著なものの一つは,その立体醗置の安定なことであろう。すなわち,光学活性ヒドロシランは遊離基的塩素化により立体配置を保持したまま相当する光学活性クロルシランに変換される。 その理由などについて考察を行なった。本研究で見いだされた種々の新しい反応,たとえば置換塩化ベンジルからの塩素引き抜き反応,芳香核置換反応,あるいは多重結含への付加反応などの構造と反応性を考察した。シリル遊離基の求核性が特筆される。最後に,やはり新しい反応であるフェニル基の炭素からケイ素への遊離基的転位について述ぺた。このとき,ベンゼン環への閉環反応も競争するが,反応過程を支配する因子,とくに季遷移状態もしくは中間体における環形成の因子について考察した。

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© The Chemical Society of Japan
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