日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
寒天ゲルのレオロジー的性質濃厚アガロースゲルの応力緩和
渡瀬 峰男荒川 泓
著者情報
ジャーナル フリー

91 巻 (1970) 4 号 p. 324-327

詳細
PDFをダウンロード (793K) 発行機関連絡先
抄録

チリ産オゴノリ粘質物をアルカリ処理したオゴノリ寒天をアクリノールを添加して寒天二成分アガロース(AG),アガロペクチン(AP)に分離した。寒天の主体をなすとみられるAGは寒天ゲルの力学的挙動の大部分をしめる。今回は鎖式応力緩和計を用いて広範囲の濃度のAG水溶液ゲルについて応力緩和実験を行なった。0.81~4.61wt%の水溶液ゲル試料をつくり25~65℃ の範囲の温度で4時聞までの応力緩和曲線を求めた。これらの緩和曲線は3個のMaxwell要素を並列にした6要素力学模型であらわすことができ,その解析結果からつぎのことが明らかになつた。
1)ゲルの瞬間弾性率およびゲルの主要三次元構造に対応するとみられる最長緩和時間を有するMaxwe11要素に属する弾性定数は,それぞれ濃度の1.6乗,1.8乗に比例する。E1については2乗.4乗則の限界濃度は25℃ で約1.2wt%であり.既報のアガロースゲルの限界濃度よりわずかに低濃度側に移動した。
2)最長緩和時間τ1は,1.GWt%以上の濃度では各温度を通じてほぼ一定値を示した。16wt%より低濃度側では濃度の滅少とともにTlは減少した。
3)τ1の温度変化から求めた見かけの活性化エネルギーは,濃度によらずほぼ5kcal/molの一定値を示す。以上のことから約1.6wt%以上の濃度ではゲルの主要三次元構造は濃度によらず一定の構造を有することが明らかにされた。既報の寒天ゲルの場合と類似した結果を示したことは,AGは寒天ゲルの力学的挙動の大部分をしめるというこれまでの見解を支持したものである。したがって,AGのゲル形成の二次結合の結合部は水素結合でつながつた微結晶構造と考えられる。

著者関連情報
© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事

閲覧履歴
後続誌

日本化学会誌

feedback
Top