日本化學雜誌
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アントラセン,ピレンのカルボニル誘導体の光化学反応
平山 鋭大杉 治郎
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1971 年 92 巻 12 号 p. 1081-1086

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抄録

アントラセン,ピレンのカルボニル誘導体で,最低三重項状態がππ状態である9-CH3CO-A, 9-CHO-A, 1-CH3CO-A, 1-CHO-A, 2-CH3CO-A, 3-CH3CO-P, 3-CHO-Pの光還元,光付加反応を研究した結果,光反応は9-CHO-A, 1-CHO-A, 3-CH3CO-P, 3-CHO-Pについて見られ,その他の化合物はいずれの光反応もまったく受けないことがわかった。光反応の認められた化合物についてはその量子収率を測定したが, 3-CHO-Pについては9-CHO-Aより大きい量子収率の値が得られた。さらに光還元反応の場合には種々の溶媒中での相対速度も求めた。大部分の化合物は無極性溶媒中で無ケイ光性であるが,極性溶媒中では強いケイ光が見られ,顕著な溶媒効果を示す。しかもこの現象と光化学反応性との関連はまったく見られなかった。その典型的な例は1-CH3CO-Aと1-CHO-Aでケイ光スペクトルに対する溶媒効果はまったく同じであるのに,1-CH3CO-Aはまったく光反応を行なわない。セン光光分解法を用いた測定結果についても報告する。

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