日本化學雜誌
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α-ベンジルモノオキシムによるコバルトの抽出吸光光度定量
上田 一正
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1971 年 92 巻 12 号 p. 1160-1163

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抄録

α-ベンジルモノオキシム(以下BMOと略紀する)は,コバルトと鋭敏に反応して,水に難溶な黄色の錯体を生成する。この錯体は種々の有機溶媒に抽出され,抽出種は長時間安定である。抽出溶媒としてクロロホルムを用いると波長307mμと390mμにおいて吸収極大を示し,390mμの波長を利用して微量のコバルトを感度よく光度定量できる。コバルト錯体の熟成および抽出に最適なPH範囲は9.0~9.3で,コバルト約30μgまでよい直線性を示しBeerの法則が成立する。モル吸光係数は2.25×104,感度は吸光度0.001に対し0.0026μg/cm2で,代表的コバルトの比色試薬であるα-ニトロソ-β-ナフトールとほぼ同程度の感度を有する。鉛(II),マンガン(II),カドミウム(II),水銀(II),ガリウム(III),モリブデン(VI)など16種の金属イオンは,コバルト20μgに対しそれぞれ1mg以上共存しても5%以内の誤差でユバルトの定量が可能である。

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