日本化學雜誌
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紅藻類粘質物とアクリジン系塩基との相互作用
赤羽 徹勝浦 嘉久次
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1971 年 92 巻 12 号 p. 1181-1185

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抄録

紅藻類粘質物とアクリジン系塩基との相互作用について検討し,つぎのような結果を得た。まず,アクリジン系塩基は寒天成分アガロース(AG),アガロペクチン(AP)とそれぞれゲルを形成するが,その性状は前者が熱可逆性透明ゲルを,後者は緻密で不透明な熱不可逆性ゲルを形成する点で異なっている。
上記の結果を利用し,つぎのような条件で寒天からAG, AP両成分を単離することに成功した。すなわち,寒天濃度1~1.5wt%,アクリジン系塩基濃度1~5×10-2mol/lを使用する方法で,この分離法は,ヨワ化ナトリワム法など従来のものにくらべ分離物の純度が高く,しかも操作が簡単なため多量に単離精製することが可能である。
寒天のほかキリンサイ,フノリ粘質物についても同様の実験を試み,それぞれ2成分が分離され,アクリジン系塩基が寒天以外の紅藻類粘質物の成分分離剤として有効なことを確認した。拡散実験によるとアクリジン系塩基の寒天の尿素溶液中でAPに作用し,その挙動に異常性を与えることを認めた。

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