1972 年 1972 巻 6 号 p. 1190-1195
多量のフェノール類,ホルムアルデヒド,アルカリなどを含むフェノール樹脂合成釜洗浄廃水を酸処理と活性炭処理によって浄化する方法の可能性を検討した。試験廃水はpH13.8,重クロム酸カリウムによつて測定した化学的酸素要求量(COD)が44000PPmの濃赤紫色廃水で,そのフェノール類含有量はJISに示されている方法では正確に測定できなかったが,pH測定から約18000PPmと考えられた。この廃水に酸を加え,pH9以下にすると有機汚染質の約61%が沈殿し,除去された。この酸処理廃水中の有機汚染質の約65%は活性炭によってすみやかに,しかも多量に吸着除去され,廃水は無色透明になつた。残りの有機汚染質の大部分は,樹脂原料の工業用ホルマリンに含まれていたメタノールであると考えられた。また吸着物は少量のアルカリ溶液によって容易に脱離された。この濃厚脱離液中の有機汚染質の約90%は中和によって沈殿し,除去された。したがって,このようなフェノール樹脂合成釜洗浄廃水中の汚染質の大部分は,酸処理と活性炭処理によって除去でき,しかも使用後の活性炭は容易に脱離再生されてくり返し使用でき,脱離液も酸処理によって浄化しうることが認められた。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。