日本化学会誌(化学と工業化学)
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熱溶液の蒸発過程で成長したポリ(インブチレンオキシド)の結晶
三橋 重信
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1975 年 1975 巻 12 号 p. 2197-2204

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抄録

ポリ(インブチレン=オキシド)のo-ジクロロベンゼンの熱希薄溶液を蒸発させて六角形および円形結晶を成長させた。これらの結晶を光学および電子顕微鏡によって観察し,結晶の成長機構および構造を検討した。
六角形結晶は分子鎖折れたたみ様式によって成長したラメラからなる単結晶であり,中心の孔はFrankの理論によって予言されたように,らせん転位に起因して形成される初期過程のものであることがわかった。円形結晶についても分子鎖折れたたみによって形成されたラメラからなるが,この場合には中心に孔がなく,その構造は中心からラメラが放射状に配列した組織であり,従来の二次元球晶と同-の構造である。そして,これらの結晶を中心として成長した同心状の六角形および円環は,放射状に配列したラメラからなり,それらは中心からの距離に対して周期的に厚さが変化しているためであることがわかった。この薄い部分ではラメラが担体上に平らに堆積しているが,厚さが増加するにつれてラメラは傾斜し始め,-番厚い部分でその傾斜は最大に達している。この組織の厚い部分においては放射方向に対して負の複屈折を示し,十字状の消光模様に重複して同心円状の明暗が認められた。この現象に関して,この場合にはラメラのhalf twist mode1によって説明できることがわかった。

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