1976 年 1976 巻 3 号 p. 399-403
ZnO焼結体を電極として用いた電気化学的な系において,色素増感光電流についての研究を行なった。 色素はローズベンガルを用いた。アノード分極下で生じる色素増感光電流は,電極表面に吸着した.色素が光励起されて電極に電子注入するためと結論した。光照射中における光電流の減衰過程を解析することによって,この光電流の量子収率を約25%と見積った。またヒドロキノン,N,N,N',N'-テトラメチル-p-フェニレンジアミン(TMPD)などの還元性物質を添加すると色素増感光電流の増加する現象について,光電流の光強度依存性,光照射中の光電流の減衰の過程などを詳しく調べた。その結果,TMPDは電子放出した色素に電子を与えることによって,色素増感の過程における色素の消費を防ぐ働きがあることがわかった。またヒドロキノンはTMPDと同様の働きとともに,キノンに酸化される過程において電極への電子注入を起こし,光電流をさらに増加させていると考えられる。
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