1976 巻 (1976) 3 号 p. 451-455
メタ位ならびにパラ位に置換基R(C1,COOH,OH,OCH3,CH3,H)をもつN-(1-一アセトニルエチリデン)アニリン系のSchiff塩基を合成した。赤外吸収スペクトルからエノールイミン形(A)とケトアミン形(B)のどちらが優位構造であるかを調べたのち,核磁気共鳴ならびに紫外吸収スペクトルを測定して吸収帯に対する置換基効果を検討した。約3000cm-1にvN-Hの吸収が認められたことから,(B)形が優位構造であることを示し,また単純Huckel法によって水素結合を形成したキレート.環の酸素ならびに窒素原子のπ 電子密度の計算結果もこれを支持した。窒素原子側のCH3プロトンは高磁場側に現われ,溶媒効果が認められた。NHプロトンは低磁場側に現われ,化学シフトとHammettの置換基定数との間に相関関係がある。紫外部にはπ→ π*遷移に相当する吸収帯が三つあって,短波長側の二つは芳香環,長波長側のものは水素結合を形成したキレート環によるものであるゆ後者の吸収は置換基が電子吸引性から供与性になるとともに短波長側へ移動する傾向がある。