日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
水溶液からホスホリルトリアミドのカドミウム錯体の合成
熊谷 直昭間瀬 判蔵
著者情報
ジャーナル フリー

1976 巻 (1976) 8 号 p. 1216-1221

詳細
PDFをダウンロード (506K) 発行機関連絡先
抄録

ホスホリルトリアミドとCdX2(X=Cl,Br,I)との反応を主として水溶液中で研究した。塩化物との反応では,室温でcdCl2とPO(NH2)3それぞれの水溶液をP/Cd原子比1.Oで混合後ただちにアセトンを添加して,錯体Cd {PO (NH2)3}Cl2〔1〕を得た。しかし反応時間を長くすると(6~9時間),PO(NH2)3の加水分解が起こり,ジアミドリン酸堪を経て最終的にモノアミドリン酸塩,CdPO3 NH2・xH2O,を主成分とする沈殿を生じた。また反応温度を高めても(~60℃),同様の結果を得た。
臭化物との反応では,室温,P/cd原子比1.0,反応時間30分で容易に沈殿として新錯体Cd{PO(NH2)3} Br2〔2〕を得た。さらにPO(NH2)3とCdX2(X=Cl,Br,I)の1:1モル比固体混合物を少量の水で湿潤し,十分混合後真空デシケーター中で乾燥しても(以下この方法を湿潤法と略称する),新錯体Cd{PO(NH2)3} X2(X=Cl, Br, I)〔3〕が得られた。
X線回折的に臭化物錯体〔2〕と〔3〕は同一物質であるが,塩化物錯体〔1〕と〔3〕はまったく相違することが認められた。それらの赤外吸収スペクトルから,錯体〔1〕,〔2〕および〔3〕いずれもPO(NH2)3がアミド基のNとホスホリル基のOの両原子により二座配位子としてCd原子に配位し,ハロゲン橋かけからなる六配位錯体と推定された。またそれらの電導度および凝固点降下の測定結果から,いずれの錯体も希薄水溶液中ではCd2+ イオン,ハロゲンイオンおよびPO(NH2)3の各成分に解離することを認めた。

著者関連情報
© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top