日本化学会誌(化学と工業化学)
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共役アルデヒドと水の間の水素結合に関する分子軌道法による考察
犬塚 功三
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1978 年 1978 巻 8 号 p. 1118-1122

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抄録
アクリルアルデヒド,ベンズアルデヒド,"グリオキサールおよびポリエナールのような共役系を有するアルデヒド,ならびにホルムアルデヒドと水の間の水素結合の問題にCNDO/2法を適用して,これらのアルデヒドと水の間の水素結合エネルギー,結合距離,結合角を計算した。CNDO/2法による水素結合エネルギーの計算値は大き目に出たが,ピリジンーメタノール系の水素結合に関して得られた測定値と計算値を用いて補正した結果は妥当な値を与えた。さらにホルミル基に2個の水が付加するときめ1:2水素結合系に対し同様な計算を行なった。この反応は二段階反応と考えたとき,第2の水が付加するときの水素結合エネルギーは第1の水の付加のエネルギーよりも小さいが,エネルギー的にはこの種の結合は可能と思われる。
しかしながら,この点に関して分子内水素結合を有する4一アミノ-5H-[1]ベソゾピラノ[3,4-c]ピリジン-5-オン誘導体ヘメタノールを添加することによるC=O振動数の変化抵非常に小さく,1:2水素結合体の形成を室温では確認することはできず,さらに実験が必要である。
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