抄録
ニトリルオキシドは多くの多置換かベンゾキノン類に対してそのカルポニル基に付加してジオキサゾール誘導体を与える。その反応を速度論的に検討し,活性化パラメーターを求めたところ,他の1,3一双極成環付加反応に対応する値を与えた。各種キノンの反応牲を置換基効果の点から考察した結果,このジオキサゾール生成反応は,誘起効果に基づく置換基定数σ1と共鳴効果に基づくσ0Rとの関数である反応性指数S, (α=1,iは置換位置)に対して比較的よい直線関係log k∞ρ・Sを与え,ρ=+2.3であった。この反応性指数Sは,キノンの二つのカルポニル基の反応性が異なるとき,一方のカルボニル基の選択反応性を推定するのにとくに有効であることが示された。