日本化学会誌(化学と工業化学)
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電荷移動型錯体を高分子材料中に分散して得られた高誘電材料の微細構造と電気特性の関係
田村 徹尾島 信行近藤 滋
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1978 年 1978 巻 9 号 p. 1209-1213

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抄録

エポキシ変性ブチラール樹脂中に,4~8%のN-メチルアクリジニウムー7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(MA,CQ2)を分散した厚さ約10μのフィルムは,40~106の高誘電率を示した。また,体積固有抵抗は10,,Ω,cmで,誘電正接1~2%であった。しかし試料の電気特性はMA,CQ£7の添加量が一定の場合でも,高分子材料,溶剤の種類および作成条件で大きく異なった。そこで,この高誘電率の発現機構を考察した結果,MA,CQ27は高分子材料中に,おのおの独立した樹枝状微結晶として無数に析出していて,各微結晶間に存在するうすい高分子材料層が誘電体として作用し,見かけ上大きな誘電率を有することがわかった。したがって,このフィルムは-種の堰層型コンデンサー材料であると考えられる。

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